新一が日本へ本格的な帰国を果たしてから、やっと1週間が経った。
高校まで住んでいた家に戻るのかと思いきや、「家事や食事が面倒だから」との理由でホテル暮らしを決め込んでいる。
しかも最上階のスイートルームを。
既にロンドンを基点として、海外で高い評価を受けている『名探、偵工藤新一』のその報酬額が、現在公務員の平次には
信じられないほどの金額だと言う事は、新聞を始めテレビやネット上で溢れかえる情報によって、知らされている事実ではある。
「有名な探偵さんはえぇよなぁ。贅沢三昧、リッチな生活で」
などと、その部屋に連れ込まれて好き勝手された挙句に、足腰立たない平次が悔し紛れにベッドに沈んだまま口した言葉に対し、
昔から変わらないニヤニヤした笑みを浮かべながらあっさりと口にしたプロポーズ的台詞。
「じゃぁ嫁に来ればいい。そうすれば、お前もその生活が一緒に味わえるぞ」
「はぁっ?」
「ホームズとワトスン…と言うよりも、ホームズとクイーンで探偵生活だ」
「俺は警察を辞める気なんぞないからな」
「あぁ、だからクイーンだ。警察勤務のクイーン警視」
「そんなにジジィじゃない」
「あぁ、俺もこの歳でオヤジを抱く趣味は無いが…でもまぁ、お前だったらオヤジでもジイさんでも構わないぜ。
なんで安心して10年後、20年後には立派な美中年になって、それでも俺に思いっきり抱かれて、いつでも可愛く喘いでくれ」
「な、なんや、それ。なんで俺が美中年なんや」
「俺の希望と要望」
「アホか!」
「でも、まぁ、俺にはいつでも『今』のお前が一番だけどな」
そう言いながら、再び新一がベッドの上へと全身を乗せてきた。
更には、全裸の平次の身体を覆っていたシーツを剥いで行く。
「おいっ、工藤っ!」
それを取られまいと端を握って抵抗するも、何も身に着けていない状態では抵抗になどなりはしなかった。
「もう一回…なっ?」
ルームサービスを受け取る為にズボンとシャツを羽織ったまま新一は、その姿で平次の上に覆いかぶさってくる。
シーツの薄い布地は、新一の下肢の昂ぶりをまるで直に伝えてくるようで、平次はかなりの羞恥と、
それだけで自分も同じ状態へと変化してゆく身体をどうにかして欲しいのとが入り混じり、
あっさりとルームサービスが届けられる前の行為が再開され、新一自身の侵入を許してしまう。
「あぁぁ、工藤ぅ…」
何度目であっても最初の痛みに慣れる事はないが、その先には衝撃的なほどの快楽が待っている事も知っている。
熱い息を吐き、昂ぶる熱が身体の中から沸き起こる。
「お前ン中って、やっぱり落ち着くな…。気持ちがイイ」
全てを収め、ユルユルとした動きで自分と平次を互い荷を煽りながら、最初ほどの激しさは無いもののそれゆえに
じれったく感じる平次は、ダイレクトな刺激を求めるかのように、両足を無意識に新一の腰に回し催促をかける。
それでも両手は何かを耐えるようにシーツを掴んだまま、新一の声にキツク閉じていた瞳を開き、そこに映る姿を見つめた。
シャツの隙間から覗く新一の素肌はうっすらと汗ばみ、感じている瞬間の上気した頬が平次の目にもやけに艶っぽく映った。
「工藤…」
いつの間にか両腕をも新一の首に回して強引に引き寄せると、自ら口唇を合わせる。
「俺も…いつでも、お前が良ぇ。今の、お前が…」
キスが途切れた一瞬に、平次が囁くように呟いた言葉。
けれど心の底からの言葉に、新一の瞳が優しく光る。
「一緒に、暮らそう」
それから1ヵ月後。
答えの無いまま、平次の荷物は独身寮から新一のマンションへと、当人が知らぬ間に移動していたのだった。
END
2008/01/27脱稿
最初に考えていた話と違ってしまいました。
まぁ、こんなコトもしょっちゅうあるさ・・・と、開き直りつつ7話目を上げました。アダルト編では二人は一緒に暮らしている設定ですが、この話はその前段階。でも同棲(?)案は実は平次に却下され、でもめげない新一が荷物を勝手に移動するというオチがあります(笑)
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