Happy Happy Valentine Day

 

いつものように、ひとりでのんびり居間でくつろいでいると、インターホンが鳴る。

久しぶりの休みに玄関までも行くのが億劫などと思えるほどに、気分的には怠惰になってしまっている新一だったが、しつこいほどに何度も何度も鳴り続ける呼び鈴に、最後は渋々という感じで立ち上がると、玄関へと向かった。

「はいはい」

ボサボサになっている髪を手櫛でかき上げながらドアを開けると、見慣れた宅配便のユニフォームに身を包んだ男がにこやかに立っていた。

「クロのペンギン便です。工藤新一さんにお届け物です」

「はぁ」

「大きなものですので、玄関の中までお入れしてしまっても良いでしょうか?」

「あっあぁ、頼みます」

そう新一が答えると、大きな箱が運び込まれる。

「では、ここにサインを」

あまりの箱の大きさに、なんだ?という問を心の中でしながらも、伝票にサインをして返す。

「それでは、ありがとうございました〜♪」

元気に帰ってゆく宅配業者を箱の向こうに見送りつつ、誰からなんだと考えてしまう…。

箱の大きさはというと、サイドは1メートルくらいで奥行きも同じくらいの大きさだった。しかし高さが2メート近くは有るらしく、新一の身長を軽く超えた処に何故かかわゆくピンク色のリボンの先がゆれている。

ふと横を見ると、タテに掛けられているリボンの紐に挟むようにして、封筒がちょこんと添えてあった。

宛名は『To.Mr.Shinichi Kudoh』と書いてある。

つまりは、絶対に間違いで届いたわけではないらしい。

封を開けると、中には1枚のカード。

淡いブルーの用紙にたった一文。

“Happy Valentine Day”

そして。

『From H. Hattori』

どうやら平次からのヴァレンタインの贈り物らしい。

それならと、新一はリボンの先を軽く引いてみる。

すると、箱はそれだけで簡単に開き出した。

まるで軽い音でもしそうなほど、上から四方に広がる。

そして中から出てきたものは…。

 

 

 

 

 

 

 


超メイド服??!

 

ついつい呆気にとられて見てしまった新一だったが、我に帰ったその鼻先にはヒラヒラと舞い落ちてきた、もう1枚のカード。

手にとり開くと。

『チョコのかわりに私を食べて♪』

と、妙に可愛く走り書き…。

「この文字は…見たことがあるぞ」

そう、とっても身近で17年間見慣れた文字…。

なんてことをしやがるんだあの女は…。

そう思いながらもついニヤケてしまうのは、止められない。

『まぁ、誰が本当の差出人かなんてことはこの際関係ないか…頂ける物は、ありがたく美味しく頂いちゃいましょ』

心の中でそんなことを考えつつ、母親の思惑に乗るのは面白くはないけれど、ここまでやられて遠慮が出来るほど、まだまだ人間が出来てはいない(笑)。

平次に向かって片手を差出し、

「来いよ」

というなり、平次の手首を握って、強引に抱き寄せる。

「お前からもチョコの匂いがするな」

そんな事をいいながら、首筋を舐め上げた。

「あっ…」

無抵抗な平次からは、可愛い声が発せられる。

ミニスカートの裾から、履いているタイツに添って上へ向かって手を差し入れると、ガーターベルトの留め金に指がかかる。

「こんなの、履いてたのか?」

パチンパチンという音と共に、耳朶を舐めるようにそう問う新一に、平次は真っ赤になりながらも、コクンと肯く。

更に手が深くに差し込まれてゆくと、下肢を蔽う下着に行き着く。

そのまま新一は、平次の前に跪くように膝を折ると、スカートの裾を上にたくしあげてその先を平次の手に握らせた。

すると、タイツの外されたガーターベルトと、まるで乙女チックな女の子のような、ピンクとレースで縁どられ、サイドを紐で軽く止めるだけの小さな下着が、既の硬くなりつつある平次自身を必死に守るように覆っていた。

「もう、こんなになってるんだ?」

下着の上からペロリと舐め上げながら、後ろに手を這わせると、肌の感触。

『おわっ!Tバックかいっ!』

そこまでのサービスをされてはこれ以上の我慢は限界と、下着を引き降ろすと…。

「えっ!!!」

その中心のそびえていたのは、なんとチョコレート。

「なんでなんでなんで!!!」

驚きのあまり立ち上がってしまった新一の頭に、突然ハート型の巨大チョコの先端がブチ当たる。

「どわ〜〜〜〜っ!」

思い切り叫ぶと、視界には見慣れた天上が目に入った。

『えっ?』

とばかりに起き上がってあたりを見渡すと、そこはいつもの自分の部屋。

窓の外には明るい日の光。

「なんだ、夢だったのか…」

変な汗をかいてしまった新一は、安心とちょっぴり落胆とを複雑に混ぜ合わせた心境で、ベッドから降りると大きくひとつ、伸びをしたのだった。

 

ピ〜ンポ〜〜〜ンッ!

工藤家の玄関のインターホンが鳴った。

 

 

 

  END

 

              2003/2/14脱稿

 

1時間ほど2/14を過ぎてしまいましたが、私的には寝るまでがその日!って信じてますので(笑)、今はまだ2/14です。
てな事で、たった1本書けたヴァレンタインなお話し。本当はH!に続くはずでした。でも、もう時間が無さすぎです。
今回はこれで許して下さい。