『刻 印』
その手が優しく全身を撫で上げる。
その腕で暖かく包んでくれる。
俺の全てを。
工藤の全てで。
抱いてくれる。
器用な指先が俺を煽って行く。
硬く立ち上がった俺に絡まり、熱を上げる。
キツク、ゆるく、明確な意思を持って。
時に根元を締め付け、先端を弄りまわす。
堪らず俺は声を上げる。
いつの間にか意識さえ支配され、嬌態を演じている自分。
工藤が俺の内に入り込む頃には、優しかった愛撫は激しさに変っている。
いつもいつも。
俺だけが工藤という波に翻弄され、悲鳴を上げている。
大きく育った工藤自身の圧迫感に、流すはずの無い涙がこぼれ落ちる。
「苦しいか?」
ずるいこの男は。
「ほら、手はそこじゃなくって…俺の背中に回せよ」
こんな時だけ優しい瞳と優しい声で囁く。
だから、悔しいけれどすがりついてしまう。
思ったよりも広い背中に。
そして暖かい胸に顔を埋めて声を上げる。
好きだと。
愛していると。
耳からではなく。
胸から直接工藤に伝える。
内の熱さと肌の熱さで。
背中に爪痕という刻印を刻んで。
それは夜の記憶。
熱に浮かされ途切れたままの。
朝になれば何処にも何も残ってはいない。
ただ、背中の印のみ。
END
2002/05/19脱稿
「目指せ!週1本!」(笑)を合言葉に(?)書いてみました。
自分でも何が書きたいんでしょう?ってな感じに、段々書いていてなってきちゃった話です。
まぁ、本当の(今回のマイ・)テーマは『記憶』だったんですが…どっこにも、そんなテーマが入りませんでした。大反省です(T_T) いや、実は最初は「やってる最中の記憶は無いの」ってな事を書くはずでいたんですが、書き終わってみるとこんなコトに…。
いやぁ〜作品なんて書いてみなけりゃワカラン!という、見本のような今回の話しでした(笑)
プラウザでお戻りください