アカイハナ ガ サイタ

1

 

 

 

それは遠い昔の物語。

とても綺麗な赤い花の話し。

 

一目見たいと願う伝説の花。

誰もが追い求め、手に入れることを夢に見る。

綺麗な綺麗な赤い花。

しかし夢を、夢見るだけでは終わらせない時。

綺麗なだけだった花は怪しく輝き。

人々に、同じ色の貢ぎ物を求める。

 

心奪われ、魂さえ虜にして。

自らのものとなる事だけを渇望し。

幾多の命が捧げ物となる。

その花を求めて。

人々が赤い花を咲かせる。

 

災いをもたらす赤い炎の花。

たった一つの魂を燃やし尽くす赤い命の花。

だから…。

決してその花を探していけないのだと。

俺に語って聞かせてくれたのは誰だったのか。

今ではもう、思い出せないけれど。

 

人々の欲望を糧として、その花は咲きつづける。

血の色を滲ませながら。

赤く染まって…。

 

 

 

 

 

ずっと夢をみていた。

赤い夢。

全てが赤く染まり、その中に俺は倒れていった。

成す術も無ないまま。

ただ崩れ落ち、沈んでゆく。

何処までも永遠とも思えるほどに。

いっそ不様なほどにその中を這いずり回り、もがく事が出来るなら。

どれほど楽になるのか。

そしてふと。

そんな思いも消えそうになった時。

誰かが遠くで俺を呼ぶ声がした。

懐かしいような、悲しいような。

必至なその声に。

俺は、引き上げられ。

赤い夢の中から、自分を取り戻したのだった。

 

 

 

 

 

「そらっ」

 そんな簡単な一言と供にハボックの上に投げ落とされたのは小さな袋だった。

「…なんスか?」

 まさに文字通りの意味で九死に一生を得たハボックだったが、それでも病院のベッドからの退場を言い渡されるには、まだまだ時間がかかる程の怪我の状態だった。

 一度は医者も諦めたのだと、手術に立ち会っていた看護婦の口から何でもない事のように聞かされたのは、意識もキチンと取り戻した後だった。

 もしそれが、まだ生死の境をさ迷っている最中であったなら、そんな事をほざいた医者など骨も残らない温度で焼き尽くしてやっただろう。

 自分がやるべきことをやらずに逃げる者など許さないと。

たとえ自分も、ベッドの上の住人と化している時であっても。

 そう、ロイとて無事であった訳ではない。

 人造人間に開けられた腹の傷を自分で焼いて塞ぐという、自らがまさにびっくり人間万国ショーの見本であるかのような事をして見せたのだが、それでも救急車でハボックと供に担ぎこまれるという事態には至ってしまっていた。

 それでも受けた傷の位置がベッドの上での生活時間に大きな違いを生み、今ではこうしてロイは退院し、ハボックは今でもベッドの上に縛り付けられていた。

その上見舞いにきてくれる彼女もいないようで、あまりに淋しい身の上をロイは不憫に思っているのか、それともからかって遊んでいるのか、周りから見たならばイマイチよく分からないまま、一人で意外とこまめに病院を訪れていたのだった。

「開ければ分かる」

 ぶっきらぼうにそう言い切ったロイは、離れておいてあったイスをズルズルと引きずってベッドの横まで持ってくると、ドカリとデカイ態度で座り込んだ。

「はぁ、まぁそんじゃぁ遠慮なく」

 上半身を起こしてベッドヘッドに持たれかけながら、置かれた紙袋をゴソゴソと開けると、中には綺麗に包装された小さな箱が更に入っていた。

 巻かれた青いリボンを解き、包みを取って箱を開けると、中に入っていたのはライターだった。

「あっ…これ」

 シルバーフレームで何の装飾もない見た目は地味に見える物だったが、取り出して握った時の適度な重さとフィット感に、一瞬で絶対に安物にはないと感じた。

「今すぐには必要ないシロモノだがな」

 そう、この病院内は完全禁煙だった。

 しかも、ベッドから離れる事が許可されていない今のハボックでは、たとえ喫煙コーナーが存在していたとしても、自力で行き着くことは不可能だろう。

 「この間、お前の持っていたヤツは完全に駄目にしてしまったからな。すまないがそれで我慢してくれ」

 

to be continued…

2004/11/15

 

10/11イベント合せで書こうと思っていたハボロイ話しです。次回のイベント参加が不明でしたのでここに出しちゃいます。まだまだ続きますし、H!も入っちゃうんですが…。
友だちが冬コミに受かるか、委託OK!なイベントを見つけるか、東京でRさん(ハボロイ推奨…でもエドも良くなってきたらしい)が「売り子しても良いよ」と言ってくれるイベントが発見された場合には、新刊で出すつもりではいます。

 

 

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