Trick or treat

 

 

ドアベルが鳴る。

いつの間にかうたた寝をしてしまっていたハボックがその音に目を覚まし、ノロノロとドアを開けた拍子に飛び込んできたのは、変な物体…。

 もとい。

 布で出来た大きなかぼちゃのお面を被った男。

「Trick or treat!」

「はぁ?」

「Trick or treat!」

「だから…なにやってるんスか、ヒューズ中佐。いい年こいて…」

 ドアノブを持った手のまま、ハボックはガックリとその場で項垂れる。

 気持ち良く昼寝をしていた所をたたき起こされ、その結果がお化けかぼちゃなオヤジ。

「お前ノリ悪いねぇ。Trick or treat!といやぁ、ハロウィンだろうが」

 そんなハボックに、ハロウィンスタイルを十分に満喫しているヒューズは、更に片手に持っている袋らしきものにお菓子を入れろと言うように差し出した。

「このトシでハロウィンもお菓子もないでしょうに」

 呆れ口調でそう言い放つが、ヒューズは目の前で指をチッチッチッを振っていつにない真面目な顔をした。

「いいか、ハボック。今日はハロウィンだ。Trick or treat!と言ってお菓子をちゃんと差し出さないと、どんことをされるのか知っているか?」

 はっきり言ってまだ少し寝ぼけているハボックなので、ヒューズの台詞に考えるも、イマイチ思考が回りきっていない。

「えっとぉ…悪戯されるんでしたっけ?」

 だから、自ら墓穴を掘るような回答をさらりとしてしまう。

「そう、良く分かっているじゃないか」

「だからって、うちにゃぁそんなお菓子んてないスよ」

 大きな欠伸と供に、伸びをひとつしてそんなことも言い放つ。

「じゃぁ仕方がない」

 トンとハボックの胸を軽く突いて中へ押しやると、自分も部屋の中に歩を進めてドアを閉じてしまう。

「あっ…」

 そこへ来て、やっと『Trick or treat!』の言葉の深い意味を思いついたハボックは、とっさに逃げようと踵を返すが、それはもう既に後の祭りだった。

そう、『Trick or treat!』…つまり『お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ』と。

この場合の悪戯が、どんなことか。

もう大人同士の二人では『悪戯』の意味も深く違う。

「Trick or treat!」

「イヤだッ!」

 ハロウィンの夜はふけてゆく。

 Trick or treat!の掛け声と供に。

 

 

『お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ』と。

 

The END

 

書いててとにかく楽しいヒューハボです。先日のロイ受けONLYイベントにも、こそりとヒューハボ本を持っていったのですが、以外に多くの方が手に取って下さるのには驚きました。しかも「コレですよ!コノふたり!」と言って頂けるのは、ものすごく嬉しいです。
このカップリングに出会わせて下さった安●さまには感謝をこめて、勝手にコレを捧げさせていただきます。あくまでも勝手になので、ご本人にも黙っておきます。ふふふ。こっそりと、捧げモノ…ね。

 

 

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