HappyDays??

 

 

目の前にある豪華なステンドグラスを通した光が、いろいろな色に染め変えられ、室内にいる人々の上に降り注いでいた。

左右に分かれて座る友人知人、シガラミだらけの軍関係者。

いつも険しい、時には殺気立った顔をしているのが常のそんなやつらの、今日だけは(不気味にも)笑顔のオンパレードだ。

中には既に感激しているか、それとも花嫁のファンの悔しさなのか、目じりに溜まる涙を拭っている者もいる。

『ヘンだ!ざまぁミサラセ!みんなのアイドル、マスタング大佐は俺のもんだ!

 そう祭壇の前に先に一人立ち、花嫁を待つ俺は今のところは心の中だけで叫んでみる。

 そう。

 ここまで来るのにどれほどの苦労を労したか。

 涙無くしては語れないアレコレ。

 しかし、その苦労も今日という日を、この神さまの前で誓ってしまえば報われるというものだ。

 そんなコンナの出来事を、走馬灯(?)のように思い出していると、突然響きだしたパイプオルガンの音色。

そしてその音にのせるように柔らかな歌声が教会内を満たして行く中、俺は誘われるように後ろを振り返る。

 自分の足元から真っ直ぐに伸びている真っ赤な絨毯の先。

 そこに続くように備え付けられいる大きな扉は、今まさに開かれようとしているところだった。

 タキシードのサイドのもう一度整えると、その扉を見つめた。

 太陽の光をいっぱいに浴びながら、純白のウエディングドレスがキラキラと輝いていた。

 ベールをすっぽりと被った姿であったが、ここにいる誰よりも、一番綺麗で可愛いくって、ナイスでキュートで強くて時々怖くて…世界中の誰よりも大好きで、これからいっぱいいっぱい愛し合ってゆく花嫁さんが、父親(??)と共に立っていた。

 ゴツイ体型に片目のアイパッチが怪しげだったが、その目にはキラリと光るものが浮かび、花嫁の父親独特の嬉しさと寂しさが全身から滲み出ているようだった。

 歌声がより一層華やかさを増す。

 二人が一歩を踏み出し、俺の元へと近づいてきた。

 教会内の全ての人々の目が、いつも以上に美しい花嫁の姿に見入っている。

そんな彼を、俺は堂々と自分のものに出来るのだと思うと、感動の涙が溢れて来そうになる。

この歳まで独身でいてよかったぁ〜〜〜っ!

他の男ドモ!ざまぁみろ〜〜〜っ!

これで大佐とのH!はやりたい放題だ〜〜〜っ!

あんなポーズやこんなポーズもお望み次第だ〜〜〜いっ!

あ〜んなコトだって、こ〜んなコトだって、やっちゃうもんね〜〜〜だっ!

などと、拳を握り締めて再び叫びそうになるが、ここは教会、神聖な場所…というのを思い出し、とりあえずは今回もどうにかこうにか思いとどまると、近づいてきた花嫁に向かって手を差し伸べる。

父親の腕から、自分の手へ。

総レースで出来た襟の高いドレスは首をすっぽりと隠し、髪をアップにしている所為で見えている耳元まで広がっている。

袖も同じようなデザインでまとめられて、細く絞ってある手首の部分から指先に掛けて大きく広がり、短い手袋をも覆い隠すようだった。

 けれど、差し出された白い手袋は眩しく、赤で書かれた焔のマークがくっきりと浮かんでみえる。

『こんな時にも発火布仕込んだレースの手袋なんて…大佐って、ス・テ・キ!!

 ついうっとり見つめてしまってから、考える。

 結婚式に発火布入り手袋????

 なんとなく腑に落ちないながらも、神父の声につられるように前を向けば、どう反応を返してよいやら、ボケルのにも困るようなそのお姿。

「えっと、じゃぁ、始めますね。いいですよね?」

 ガタイに似合わずの舌っ足らずの可愛い声は、よろい姿のアルフォンス・エルリック。

 鉄の塊の上からもキチンと法衣を着込んで、聖書片手に俺たちの目の前にドンと立っている。

 とりあえず俺はうなずくと、それを見たアルフォンス・エルリックは、なぜか嬉しそうにしおりの挟んでぺージをめくって読み出した。

「えっとぉ、ヤメ〜ルトキモ〜、スコヤ〜カナ、トキ〜モ、トモ〜ニぃ、タスケア〜イ〜…」

 なぜに片言な感じで喋るんだ、エルリック弟よ。

 そんな突込みを今度もまた心の中だけでしながら聞いていると、俺的山場の第一弾がやってきた。

「ナンジ〜ロ〜イ〜・マ〜スタング〜わぁ、ジャ〜ア〜ン・ハボ〜クヲ〜、オ〜ット〜トシ〜っ、トモ〜ニ〜アユムト〜チカ〜イマスカ〜?」

 普通は新郎から呼ぶんじゃないかと更に心の中で突っ込むも、まぁ大佐の方が階級が上だから仕方がないのか…これもキビシ〜イ社会秩序のなせるワザと、勝手に自分を納得させながら、大佐の次の言葉を俺はどきどきと待つ。

「はい……誓います」

 何故か声のトーンは不機嫌調ではあったのだが、今日始めて聞く大佐の声が誓いの言葉で、しかも「YES」だという事実に、俺は思わず嬉しさで空だって飛べるような気持ちになった…実際は飛べないけどね。まぁバンジージャンプくらいなら、どうにか。

次に自分の誓いの言葉を言い、その後には山場第2弾の指輪の交換と、もっとも山場の第3弾の山場の誓いのちゅ〜っ!が待っている。

 公衆の面前で!

 みんなの前で!

 堂々とオレノモノ!宣言が出来ると言うことだっ!

 やったぜ!やったぜ!

 YEA!YEA!YEA!

 あまりの嬉しさが滲み出て、自然と顔がニヤケてきそうだぞ。

いかん、いかん。

 全てが終わるまで、油断は禁物。

 必死に気持ちと顔を引き締めて、次の言葉を待つ。

「ナンジ〜ジャ〜ア〜ン・ハボ〜クわぁ、ロ、イ〜、マスタ〜ングヲ〜ツマトシ、ト・モ・ニ〜アユムト〜チカ〜イマスカ〜」

「は、はい、誓います」

 あっ、感激しすぎて、声が裏返った。

 ちょっと恥ずかしくなって横にいる大佐をちらりと盗み見るが、ベールがガードになってはっきりとは分からない。

 両手で白ユリのブーケを持ち、心持ちうつむいている。

 その斜め後ろに陣取る父親役の大総統は完全に花嫁の父と化し、オイオイと声を張り上げて感激の涙を流し続けている。

「ソレ〜デワ〜、ユビ〜ワノ、コウカン、デ、ス」

 そうアルが…もとい。

 神父が告げると、小さなお盆のようなモノに二つの指輪を載せた物を、さも面倒くさそうに捧げもって現れたのは、エドワード・エルリック。

 可愛さを演出なのか、笑いの要素を振りまくためか、何故か白のロングのスモッグのような服を着て、背中にはカワユク天使の羽などを付けた格好で現れたのだった。

 なんだその格好は?と突っ込もうかと思った瞬間に、神父の声がそれを遮るように俺と大佐に指輪の交換を指示する。

 なんとなくタイミングを反らされた間がある気がしたが、一応神父の声には従わないとと、しぶしぶ大佐の左手の薬指に指輪をしっかりと嵌めると、大佐も俺に付けてくれた。

 超感激の嵐。 

 オレノモノ実感再び!

 一人感動の真っ只中で浸っていると、超山場がやってきた。

「デ、ワ〜、チカイ〜ノ、クチヅケ、デ〜ス。へへっ」

「おぉ!とうとうチュ〜か」

 神父の(一応)神聖な儀式の宣言を、横にいる兄のエセ天使がからかうようにまぜっかえす。

「なんなら、濃いのとかをムチュ〜〜〜〜とか、しちゃっても良いぜ大佐! 後でネタにして笑ってやるから」

「に、にいさん。一応ちゃんとしたお式なんだから、ふざけないでよ」

 大佐とエドの戦い再び(その後の片付け&始末がチョ〜大変だったが)に突入せんばかりの一瞬の大佐の殺気を感じたのか、出来た弟がハジケテイル兄を止めると、続きをどうぞと俺をぐいぐいと大佐の前に押し出してくれた。

 まだ垂れ流されている大佐の殺気に俺は引きつった笑顔でその目の前に立つと、必死に笑顔と作って「失礼しま〜ス」と呟くように断ってから、薄いベールを引き上げた。

 素顔の大佐も別嬪さんだが、今日の大佐もいつに無く一段と綺麗に見えた。

(新郎の欲目か?)

つい、うっとりと見惚れていると、再びエセ天使の野次が飛ぶ。

「なにぐずぐしてるんだよ。早くやっちまえよ〜」

 そして、大佐の目つきも数段険しさを増す。

 しかしここで怯んでは、今日からのロイ・マスタング大佐の夫としての立場がなくなると、俺は勢いのまま大佐の両頬を両手で挟むようにして包み込み上を向かせ、顔を近づけていった。

行ったのだ。

行ったのだが…。

「ちょ〜〜〜〜〜〜っと、まっっったぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!」

 勢い良く扉の開く音とともに、待ったコールが教会内に大きく響いた。

「その結婚!お父さんは許しませ〜〜〜〜〜んっ!」

 なんとドスドスと足音も荒く真っ直ぐこっちに向かってくるのはヒューズ中佐。

「い、いくら中佐でも、た、た、大佐は渡しませんからね」

とりあえず誓いのチュウはお預けにして、大佐を背後に庇うようにして迫り来るヒューズ中佐の目の前に俺は立つ。

「ハボック、いい度胸だ」

 口元だけでニヤリと笑うと、俺の胸倉を行き成り掴んだ。

「中佐、なに…」

 そして・・・・・・・・・。

 殴られるのかと腹に力を入れた瞬間。

 口唇が塞がれ、ぬるりとした舌が口咥内に入り込んでは、クチュクチュと動き回る。

 俺は頭が真っ白になったまま、ただされるがまま。

 中佐は角度を変えては何度も何度も、俺の息が上がっても話してはくれず、次第に意識が朦朧としてきた。

『あぁ、これは俺と大佐の結婚式のはずなのに・・・』

 そんなことを頭の隅で考えながら。

 大きな手が、下肢に延びて来る感触で前が自然に硬くなる。

 夢の新婚初夜が。

 深くなってくる愛撫に、俺はたまらず………。

 

 

 

 

「おわぁ〜〜〜〜〜っ!」

 俺は勢い良くベッドから飛び起きた。

 なんか最初はいい夢だった気もするが。

 最後は悪夢だった気がしないでもない…。

 こうして目覚めてしまうと、夢の詳しい部分などは覚えていないし。

 ただ、イク夢だったことと、その相手が相手だったことは鮮明に思い出せた。

「なんて夢なんだか」

 寝ている間にかいていた嫌な汗が、全身にまとわり付く。

 俺は大きなため息を付くと、再びゴロリと別途に横になったところで、再び飛び起きる羽目に陥る。

 俺のベッドに誰か居る…。

 頭半分ほどまで布団に包まって寝ているその背中…。

 決して女性ではありえないほどの肩幅…。

 誰なんだ?

 夢の続きが迫ってくる。

 なんで!なんで!なんで!

 もしかして大佐?

 もしかして中佐?

 

 さて、どっち?

to be continued…???

 

永遠に最強の夢落ちです(笑) ハボの横に寝ているのは、さぁどっち? というか、もしかしてこの二人以外なのか?

 

 

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