星に願いを 伏兵現る…。

外に出た一条を、後ろから呼び止める声がする。

「亀山」

猛ダッシュで走ってくるその姿は、言わずと知れた「長野県警一条薫ファンクラブ、会員ナンバー00」を自負する男、亀山鶴丸21歳。

「い、今お帰りですか?」

片道30分の自転車通勤の公務員の手には愛車のハンドルが握られている。

「お前もなのか?」

それを見てつい笑顔になってしまった一条だが、その無意識の笑顔攻撃に、亀山の心臓は爆発しそうなほどの活動をし始める。

「は、ははは、はいっ!」

「この寒いのに、自転車は大変だろう?」

なんと優しい一条の言葉…感激状態の亀山は、このまま一気にトライアスロンも出来そうな力がチャージされたような気になった。

そして、それは亀山にとっては勝負の言葉を発っせさせた。

「あの一条さん。確か明日はお休みでしたよね?」

「あぁ」

一条は大きな目をクリッとさせて、亀山を見つめる。

「そ、それじゃぁ、自分とこれから流星を見に行きませんか? ものすごく良いポイントを知っているんです」

勢い込んで言う亀山に、もしかしてあのカウンターのプレートを作ったのは…と、想像してしまい笑い出しそうなってしまう。

「あの…一条さん?」

「なんでもない、悪い」

ちょっと夜空を見上げただけで、星がひとつ頭上を流れて行った。

「そうだな…こんな機会はめったに無いものな」

「はい」

「この近くか?」

「いえ、もっと山の上の方になるんですけど、人もそんなに集まっていないと思うんで、静かに見れると思います」

「そうか…じゃぁ俺の車で行こう。その自転車で車に付いての山登りはキツイだろう?」

再び笑顔でそんな事を言われ、亀山はもう悩殺される寸前まで来ていた。

なんてナイスな笑顔なんですか!一条さん。あなたの笑顔は人類を救います!ら〜ぶアンドぴ〜すア〜ンドすま〜いるですっ!、などと心の中で大きく叫んでしまう。

「自分は一生一条さんに付いて行きます」

そして拳を握ってそう言い切るが、等の一条本人は既に自分の車の所に歩いて行ってしまっていて聞いてなどいない…。

「亀山ぁ〜っ、行くぞ〜」

「は、はい!」

支えていた自転車を慌てて指定の自転車置き場に置きに行くと、更に慌てて一条の車に乗り込んだ。

車が長野県警察の門を出て直ぐ、1台のオフロード車と1台のバイクがものすごい勢いで入ってきた。

バイクと車をそれぞれに降りた人物は、乗っていた時から言い争いをしていたであろう、その続きを歩きながらも行っていた。

しかしそこには、二人の目的であった人物の姿は既に無い事など、知る由も無いのである…。

 

 

 

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