≪この青い空 みどり≫

 

 「ずるいよなぁ、椿さん」

  椿と別れた後、ずっと雄介の口から無意識に飛び出す言葉はそんなものばかり。

 「よりにもよって、なにも椿さんじゃなくたってさ.。あんなにずっと俺が側にいたのにさ。」

 すっかり周囲は闇の色に染まり、頭上にはキラキラとしたダイヤモンドの輝きを持った星々が、ビロードのような夜空に舞っている。

 日本を離れて思い出すのは、静かに微笑む笑顔と、最後に見た一人立ち尽くし、今にも泣きそうな顔をした姿。前回までの旅では、こんなに日本のことが思い出されることなど無かったのにと、考える度にため息がもれる。

 ふと雄介はその場に立ち止まると、海の方を向き、膝を抱えるようにしてうずくまる。

 「やっぱり、側を離れるんじゃ無かったかなぁ…」

 海を挟んだ距離ではなく、1年間と言う空白に思い切り距離を感じてしまう。

砂の上を、波が行ったり来たりと同じことを繰り返し、しかし全く同じ波は二度とは来ない。

「くそう!ウジウジ考えててもダメだッ!椿さんがなんと言おうと参戦だッ!参戦!」

 思い切り勢い良く立ち上がると、海に向かってとりあえず叫んでみる。

「椿さんより俺の方が絶対いいい男だぞーッ! お買い得だぞー!」

 テクニックでは負けるけど、若さと情熱があるし、体力には断然自信がある。勝負はこれからだ。

 上空に浮かぶ南十字星に向かって、ついつい誓ってしまう…。 

 雄介の春は、近い…のか?    

 

                        END       

 

NatukomiSpecial号(2001/08/12発行)初出

 2001/10/15改訂

 

“この青い空 みどり”本編の中の前半部分の続編
 だって椿さんに一条さんを取られて、「俺のもの」宣言まで聞かされちゃったりして、これでただ黙って終わらせたりしたら、男としてのプライドも終わりでしょう?なので、リベンジを誓わせてみました。
 こんなの書くとまた、絶対に続きとか書きたくなっちゃうのよね。…つまりトライアングル・ラヴ???

 

 

 

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