暗い暗い、底なし沼のような真っ黒な闇の中で、何かがこちらに来いと誘いをかける。

行ってはいけない。

誘われてはいけない。

それがなんなのか分かっていている。

けれど歩みは止められない。

(お前はいるのか?)

何処まで落ちて行くのか。

深く、深く。

静かに沈む。

(そこか?)

奥底にいるものがざわりと蠢く感触がする。

闇ににごったその中に。

二つの赤い瞳を輝かせながら。

(そこにいるのか?)

声の無い声が闇を震わせ振動する。

(お前なのか?)

奥底から。

身体中からの。

悲鳴のような叫び声。

(大丈夫だから)

天に伸ばされた腕に、足を捕られる。

爪が皮膚に食い込み、色の無い赤い血が闇を汚す。

そしてそのまま、両手で抱きしめられる。

強く熱く、深い抱擁。

口唇が落ちてくる。

合わさる。

舌先がまるで貪り食うような激しさで動き回る。

服が裂かれ犯される。

暗闇が身体の奥深くに入り込み、苦痛と快楽を同時に引き出される。

揺さ振られ。

煽られ。

突き上げられ。

そして鋭い爪が薄い皮膚を裂いて行く。

「五代…」

痛みでは無く、心が苦痛を訴える。

名を呼ぶ声に命が削られる。

「五代…」

身体を伝って流れ落ちる先には真紅の花。

赤い花が咲く。

血の色をした大輪の花が。

闇に全身を任せながら。

這う手で全てを切り刻まれる。

全身がバラバラになって、闇に溶けてゆくように。

この深く暗い地の底で。

二人で闇に囚われる。

(お前だけをいかせない)

そして二人は闇に散る。

 

The end

 

 

 2002/05/15脱稿

 

まさか3日連荘で書く事になろうとは、思いもしませんでした、はい。
さて今夜は、テーマ「闇」シリーズ(?)一条編です。どん底でもがいている五代くんに、天使降臨ちゅ〜感じにしたしたかったんですが、何故か一緒に底辺です。もうこれだからこの二人は…(>_<)
すっかり51書きになっています。そろそろ21モードも取り戻さないと…ほほほ。

 

 

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