SHO&T
≪15の好奇心≫

2. T.C.C. 宇宙船≪テディ・ベァ≫

 

 

『トラブル・コンサルタント・カンパニー』
 通称『T・C・C』。その名の通り、人々の「トラブル」を解決する民間組織である。
 元々は夫婦2人で『なんでも屋』を開業。一般家庭内の掃除や犬の散歩、簡単な浮気調査、

夜逃の手伝いなどをやっていたのであるが、あまりの繁盛ぶりに、段々と人が増え組織化され
ていく間に、今では各惑星に一支部という、巨大組織にまで発展したのである。
 そして、仕事の依頼も昔ながらの家庭内の簡単なものから、ショウ達がまかされた「海賊
退治」のようなかなり危険なものまで、各種さまざまな仕事が依頼されるのであった。
 その為、その依頼内容に合った対応が出来るように、それぞれのトラブルに関しての数百
の部署が存在し、数万の各担当員がいるのである。

 

 

「課長、相当ド頭にきてたよなぁ…」

 あれ以上怒鳴られてはたまらないと、美味しい安いで評判の社員食堂にも寄らずに、さっさと自分達の宇宙船(シップ)に乗り、次の仕事先へと向かったトラブル発起人と言われる2人。

“そりゃ、そうでしょう。あの都市の復旧には、相当莫大な費用と時間がかかりますからね”

 シップのコクピットでは、ショウだけがドリンク片手に寛いでいる。その話し相手は、船のコンピュータ「テディ」。
 船の名は《テディ・ベア》。全長110メートル、最大幅55メートル。船というよりは戦闘機を大きくしたような形。先の尖った先端、後方へと広がる船体と2枚の垂直尾翼。
 銀色のボディに青のラインと船名。垂直尾翼の中央やや上には、サングラスと蝶ネクタイをした可愛い熊のエンブレム。

 そして、他の船と最も違う処がひとつ。
 コンピュータがVEARH(可変式護衛同伴型最高級従者人造人間)「T」であり、船体から離れて自由に動き回ることが出来、船自体も自由に操ることがが出来るという優れもので、この宇宙に今のところ一つしかないというシロモノである。

 更に「T」が人間で言う「眠る」状態に入ると、「T」の一部であるサブ・コンピュータの「テディ」が、船を動かす為に活動を開始するのである。

「テディ、お前、人事のように言うじゃないか」

“だって、あの都市を破壊したのはショウと「T」でしょう?”

「お前とTは一心同体だろうに」

“いいえ! ”

「冷たいなぁ、思いっきり否定するなよ…」

“だって「T」は《テディ・ベア》のメインコンピュータなのに対し、私「テディ」はただ単にサブ・コンピュータでしかありません。「T」が目覚めれば「私」は動きを止めます。ですからあれは、私の知らない所で「T」がやったことなので、完全に「T」の責任です”

 ショウにしてみれば、人の身体が有るか無いかだけの差しかないし、「テディ」は「T」の一部なわけだしで、自分の左手がやった責任を、自分の右手になすりつけているようにしか見えないのであった。

“ショウ、目的地の惑星メテまでは後10時間ほどかかりますがどうしますか?”

「そうだな、風呂でも入ってさっぱりして、一眠りするかな。でも少し腹へったなぁ…」

“寝る前に食べると、太りますよ”

「……最近、お前も一言多くないか?」

 ぼそっと呟いたショウに対し、テディはなぜか一つ咳払いなどしてから、

“惑星メテに付く2時間前に起こしてあげます。それから食べれば…”

「あぁ〜あ、チキンの竜田揚げが食いたいな。わかめのお味噌汁付きでさ。ぶり大根なんかあるともう最高なんだけど…なぁ」

 扉のほうに歩いていきながら、テディに聞こえるようにわざと呟く。

“……解りました。ショウより先に「T」を起こして食事を作らせておきます”

「頼むね〜♪」

ショウはルンルンと自分の部屋へと向かっていったので、テディがコクピット内のみで呟いた言葉なんて、もち ろん聞こえるはずなどなかったのだ。

“そうやってモグモグモグモグ食べてると、今にデブデブブヨブヨになっちゃって、戦闘機のコクピットに入らなくなっちゃうんですからねぇ〜ぅ。あっ、このシップにも入らなくなっっちゃいますからねぇ〜だ”

 その気遣い(?)、お前本当にコンピュータかい…。

 

 

「T…、俺聞いてなかったぞ!」

「なにがです?」

「この仕事の現場!」

「惑星メテのカル・シティですか?」

「メテは解ってるさ」

「じゃあなんです?」

「あのな〜。なにが悲しくてこんなガキしかいない、ミーハー・シティに来なくちゃいけないんだよ!
しかもカル・シティときてる」

 惑星メテ。
 はっきり言って、ミーハー人種の多い観光惑星…。
 夏涼しい気候と、低料金で旅行に来れ、低料金で遊べると言うのがウリの、若いラブラブ・カップルに
人気の避暑地。カル・シティはそのド真ん中で、キャピ〜な人種には特に人気のスポットである。

  そして2人は、そんな観光地の店が並ぶ通りをプラプラと歩いていた。

「仕事じゃないですか、ショウ」

「ハードな仕事が終わったばっかの俺達でなくたっていいじゃないかよ。人探しなんて、特殊3課の
仕事じゃないだろうに」

「そりゃぁまぁ、そうですが…。ショウが選ばれた理由と言うのも解りますからね」

「何だよっ!」

「だって、ガキを探すなら、同じガキのショウが一番良いですからね。適材適所!」

「ガキってお前…これでももう20歳だぞ!」

「大丈夫。その外見なら後5歳は若く見えますよ」

 笑顔大全開のニコニコ顔で言いきるTに、ガク〜ッという感じで身体の力が思い切りぬける…。
この年で後5歳若いと言うことは、完全に未成年(こども)にしか見えないって事だ。

「…どぉ〜せ俺は童顔だよぉ…」

 そう言って頬をプ〜ッと膨らませた顔になるが、その顔がいっそう若く見えるなんて事は、お間抜け
にもショウだけが気づいていない。そんなショウが可愛いいので、Tだって教えてあげないのだ。

「それに人探しをしているだけなら、ステーションを丸ごと都市に落っことすことはないし、或星の地軸
をついうっかり変えちゃったり、気が付いたら太陽がノヴァ化していたりとかする心配がないので、課
長も社の方も安心していられますしね」

 正直者のTにしてみれば全く悪気はないのだが、全て今まで自分達がしでかしたことなので、ショウ
にしてみればかなりくるものがあるのであった。

「それにしても、現場がカルと分かっていなかったってことは、また今度の仕事のデータ見ませんでし
たね」

「うっ…」

 更にショウは痛いところをつかれ、言葉に詰まってしまう…。
 そしてTは頭痛をを訴えるように眉間に皺を寄せて額の左右を指でぐりぐりと押しながら、ため息を
ひとつつく。

「わかりました。簡単に説明しますから…」

「じゃあ、お茶でも飲みながらにしようぜ。そこに店もあるし」

 Tの苦悩の混じった言葉には見向きもせずにおのん気調なショウは、目の前にあるファーストフード店
をルンルンと指す。
 しかしTは首を横に振ってダメだしをした。

「そんな何処の星にでもある店でなくても良いでしょう。せっかくですからこの星限定の店にしましょう。
そうですね、この近くですと…ワッフルのおいしい店がありますよ」

「くわしいな…お前」

「はい、ショウが寝ている時間、ヒマでしたのでちょっと調べておきました。カル・シティ観光マップ『女子高
生推薦おいしい店ベスト100』と言う本のトップに載ってました。『芸能人も絶賛♪』だそうです」

「またお前、そんな本読んで…無駄にデータ量増やすなよぉ…」

 Tの読書の趣味については、ひたすら理解できないショウであるが、まあ、コンピュータの考えていること
を理解しようと言うのがまず無理なことなのだが…。

「ほらショウ、置いていきますよ」

「へ〜い…」

 若いくせに意外とジジくさい感のショウは、この星ってば以外とTに合っているのかも…などと恐い考えに
なってしまったのだった…。

to be continued…

 

                   (1998/01/15初出)2001/12/2改訂 

 

やっと主役(?)達や組織についての説明に入りました。
でもまだまだタイトルの「15歳」が出てきていませんねぇ。この
後くらいで出てきてくれると良いんですが…。
まだまだ続きますので、覚悟して読んでくださいマセm(__)m

 

 

 

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