星に願いを 昨年本にしたので下げたんですが、リニューアル記念(?)にもう一度UP!してみました。でも、購入特典のおまけBOOK分はUP!していませんので、ご了承くださいマセ。
美味しい空気に、清んだ海。 そして白い雲に青い大空の下。
先ほどから妙に熱心に、五代雄介は英字で綴られた新聞を、普段の彼からは想像も出来ないくらいにマジメな顔付きで、じ〜っと読んでいた。
噴水の囲いの際にドッカリと座り、片手にはバーガーがしかっりと握られ、それを時々齧りながらというお行儀の悪さではあったのだが…。
「流れ星かぁ」
約三〇年周期で巡って来るという獅子座流星群。その中でも今年の流星の見える量は膨大で、絶景のロケーションが望めるという。
しかも一番の地が東…所謂、日本だという。
「みんな元気かなぁ」
今までの旅で、そんなに里心の付く方ではなかったはずなのだが、今回の旅は何故か違っていた。
あの一年間という長くて短かった戦いの時間が、そう思わせるのかもしれない。
「一条さん…元気で頑張ってるんだろうなぁ」
ついそんな言葉が口を付いて出てしまう。
ずっと側にいてくれたけど、何があっても信じてくれたけど、心の奥底まではとうとう踏み込ませて貰えなかった。
いや、自分から無理矢理に踏み込むことが出来ず、その潔癖なガードをとうとう崩すことが出来ないまま、こうして離れてしまったのだった。
あの時は、そうすることが一番だと思ったから…。
あのままあの人の側に居続けていたら、何をしてしまったか分からなかったから。
昔の自分を、もっと強い自分を取り戻したくて。
心残りを自覚しながら。
寒い、白銀の中で別れを告げた。
四季は巡り、そろそろ日本は再び寒い季節に入る頃だろう。
冬の清んだ空気の中で見るたくさんの流れ星は、どれほど綺麗なんだろう。
そんな事を考えているだけで、無性に会いたくなってしまう。
満天の星。
流れ星のシャワー。
二人で見上げる光る夜空。
五代は、ついつい力の入ってしまった状態で新聞を握りつぶしてしまうと、ついでに一気にバーガーの残りを口に放り込みコーラで流し込む。
そして勢いよく立ち上がった。
「よぉ〜しっ!」
気合のこもった掛け声と共に一気に走り出す。
それにつられたかのように、一声に鳩が青い空に飛び立ち、浮かんでいる雲に溶け込んでゆく。
「星空でデートだ!」
まだ見えない流星雨が、既に五代の心には流れていた。